なにわノリダーのぬるい自転車日記

ロードバイクを大阪ではじめ、つくば、シカゴ、守谷とぬるく走ってます。

自転車で日本縦断 Stage5(ファイナルステージ)DAY1 延岡〜宮崎 その2 南国の絶景と馬ヶ背、そして謎の帽子消失事件!

自転車で日本縦断 Stage5(ファイナルステージ)DAY1 延岡〜宮崎 その2 南国の絶景と馬ヶ背、そして謎の帽子消失事件!

いよいよ日本縦断自転車旅、ファイナルステージの実走が始まる。前日は茨城県守谷市の自宅を朝5時に出発し、11時間15分もかけて宮崎県延岡市に到着。小倉では明太子弁当、延岡では元祖チキン南蛮を平らげ、エネルギーもばっちり補給した。目指すは本土最南端の佐多岬。まずは延岡から宮崎市まで、日向灘沿いを南下する約115kmの旅である。

【写真①:DAY1 延岡ー宮崎(1).png|Garminによる延岡〜宮崎の走行ルート】

Stage5 DAY1 走行記録(2026年10月2日)

走行区間:宮崎県延岡市 → 宮崎市/走行距離:115.31km/走行時間:6時間54分33秒/平均速度:16.7km/h/獲得標高:776m/消費カロリー:3,101kcal

▶ Garmin Connectで実際の走行ルートを見る

地図を見ると、宮崎県の東海岸をほぼ一直線に南下するルートである。距離は115kmほどだが、獲得標高は776m。海沿いだから平坦だろうと思ったら、案外アップダウンもあるらしい。さて、どんな一日になるのやら。

朝7時前、いよいよ延岡を出発!

前日の長い鉄道移動から一夜明け、朝7時前に延岡駅前のホテルを出発。ところが初日というのは、どうも準備に手間取る。輪行袋から取り出した自転車にフロントバッグ、リアバッグを取り付け、Garminやらライトやらをセットする。何度もやっている作業なのだが、旅の初日は、どうにも段取りがよろしくない。あれを付けて、これを確認して、よし、出発だ!

走り始めると、いきなり大きな川に出た。大瀬川(おおせがわ)である。

【写真②:PA020446.JPG|朝の大瀬川と延岡市街】

いやあ、いい天気だ! 朝の柔らかな日差しを浴びて、大瀬川の水面がゆったりと輝いている。対岸には延岡の市街地、その向こうには緑の山並み。空はすっきりと晴れ渡り、何とも気持ちのよい朝である。大瀬川は五ヶ瀬川水系の大きな川で、五ヶ瀬川から分かれて市街地の南側を流れ、日向灘へと注ぐ。延岡は幾筋もの川が流れる、水の豊かな町でもあるのだ。

前日の守谷では、冷たい雨に打たれながら輪行準備をしていた。それが今日は、この青空である。うむ、幸先がいい。

市街地を抜けると、ほどなく海に出た。いよいよ日向灘である。

【写真③:IMG_7287.JPG|延岡の市街地を抜けて海岸線へ。穏やかな入り江と朝の通学風景】

おお、いい景色ではないか! 海は入り江になっていて、波もほとんどなく、実に穏やか。青い空の下、静かな水面がどこまでも広がっている。ちょうど通学時間帯とあって、ランドセルを背負った小学生たちが歩いている。自転車に乗った中学生や高校生ともすれ違う。みんな学校へ向かっているのだ。

一方、こちらはといえば、朝っぱらから自転車に大きなバッグをくくりつけ、九州の海岸線をのんびり南下している60歳のおじさんである。

「おじさんは遊んでいて、ごめんね」

思わず心の中でつぶやいてしまった。もっとも、こちらだって長年せっせと働いてきたのである。60歳になって仕事を少し減らし、こうして平日の朝から自転車で旅ができるようになった。考えてみれば、なかなかありがたいことではないか。子どもたちは学校へ、おじさんは佐多岬へ。それぞれの目的地に向かって、今日も一日が始まるのである。いやあ、半隠居生活も悪くないなあ。

おお、南国だ! ヤシの並木道が出現

海岸線を気持ちよく走っていると、突然、道路沿いに背の高いヤシの木がずらりと現れた。

【写真④:IMG_7289.JPG|道路沿いにずらりと並ぶワシントニアパーム。南国ムード満点!】

おおーっ、出た出た!! 青い空に向かって、すっくと伸びた細長い幹。そのてっぺんには、ヤシの葉がふわりと広がっている。しかも、これが何本も何本も道路沿いに並んでいるのである。いやあ、南国だ! これぞ宮崎だ!

ちなみに、このヤシの木は「ワシントニアパーム(ワシントンヤシ)」と呼ばれる種類とみられる。宮崎県の木として知られるフェニックスとは別の種類で、背が高く、すらりとした姿が特徴だ。宮崎では、こうしたヤシの木を街路樹として植え、南国らしい景観づくりを進めてきた歴史があるそうだ。

しかし、そんな難しい話はさておき、僕はこういう景色が大好きなのである。青い空、まぶしい太陽、そしてヤシの並木道。南国は大好物だ。昨日の朝は守谷で冷たい雨に打たれていたのに、今はこうしてヤシの木の下を走っている。たった一日で、ずいぶん遠くまでやって来たものだ。気分は一気に盛り上がる。いやあ、いいぞいいぞ!

日向市の細島港へ。天然の良港とはこのことか!

気持ちのよい南国の道を南下し、日向市(ひゅうがし)に入った。ここで、ちょっと寄り道をすることにした。目指すは日向市の有名な景勝地「馬ヶ背(うまがせ)」である。

普段の自転車旅では、1日120〜130kmほど走ることも多く、観光地があっても時間が惜しくて、ついつい通過してしまう。しかし、今回のファイナルステージは走行距離に少し余裕がある。せっかく九州まで来たのだから、たまにはのんびり観光も楽しもうというわけだ。

馬ヶ背へ向かう途中、細島港(ほそしまこう)に出た。

【写真⑤:IMG_7291.JPG|日向市の細島港。細長い入り江の奥まで続く穏やかな港】

おお、これは面白い港だ! 細長い入り江の両側を緑の山が囲み、その奥まで海が入り込んでいる。すぐ向こうには広大な太平洋が広がっているというのに、港の中は驚くほど穏やか。波もほとんどなく、水面がゆったりと揺れている。なるほど、これは天然の良港というやつだ。

細島港は古くから海上交通の要衝として栄えた歴史ある港で、江戸時代には参勤交代にも利用されていたという。現在では国際貨物も扱う、東九州の重要な物流拠点となっている。しかし、こうして実際に来てみると、その理由がよくわかる。海に面していながら、入り江が天然の防波堤のような役割を果たしているのだ。

港の岸壁に自転車を置いて、しばし海を眺める。いやあ、静かだ。さて、目指す馬ヶ背はこの先の日向岬にある。穏やかな港とは対照的に、太平洋の荒波に削られた断崖絶壁が待ち受けているらしい。これは楽しみである。

これだ、これだ! 太平洋を望む海岸線の快走路

細島港を離れ、馬ヶ背を目指して走り出すと、いよいよ待ちに待った海岸線の道が現れた。

【写真⑥:IMG_7294.JPG|細島港から馬ヶ背へ。太平洋を眺めながら走る海岸道路】

おおーっ、これだ、これだ!! 左手には太陽の光をキラキラと反射する青い海。右手には緑に覆われた山が迫り、その間を一本の道路が海岸線に沿って延びている。しかも、路面がいい!

自転車旅では、これが実に重要なのである。景色がどんなに素晴らしくても、路面がガタガタだったり、穴ぼこだらけだったりすると、どうにも落ち着かない。その点、この道は舗装状態もよく、実に気持ちよく走れる。海側には消波ブロックが並び、そのすぐ向こうには青い太平洋。日差しはたっぷり、空は快晴。いやあ、いいぞ、いいぞ! こういう道を走りたくて、わざわざ九州まで自転車を持ってきたのである。

気持ちのよい海岸道路を走り、いよいよ馬ヶ背へ向かう。馬ヶ背は日向岬の先端近くにある景勝地。岬というからには、当然ながら登り坂が待っている。

【写真⑦:IMG_7297.JPG|馬ヶ背へ向かう登り坂。眼下に広がる太平洋と南国のヤシの木】

海岸線からぐいぐいと高度を上げていくと、視界がぱっと開けた。おお、素晴らしい! 眼下には真っ青な太平洋。緑に覆われた岬が海へ突き出し、右手には大きなヤシの木。青い空と青い海、そして南国らしい緑が実にいい具合に組み合わさっている。

もちろん、登り坂なので脚にはそれなりに負荷がかかる。しかし、これがまた楽しいのである。自転車という乗り物は、登れば登るほど景色が変わる。さっきまで海面と同じ高さを走っていたのに、今では海を見下ろしている。この変化を自分の脚で味わえるところが、何とも面白い。登って、景色を眺めて、また登る。うむ、これもまた自転車旅の醍醐味である。

馬ヶ背の断崖絶壁! 自然が造った巨大な彫刻

馬ヶ背の駐車場に自転車を置き、遊歩道を歩いて展望台へ向かう。そして、目の前に現れた景色に思わず息をのんだ。

【写真⑧:IMG_7300.JPG|馬ヶ背の断崖絶壁。巨大な柱状節理の岩壁に挟まれた細長い海水路】

おおお、これはすごい!! 両側から巨大な岩壁が迫り、その間に細長く海が入り込んでいる。まるで大地が巨大な刃物でスパッと切り裂かれたような、何とも不思議な地形である。しかも、この岩壁がすごい。よく見ると、何本もの巨大な石の柱を束ねたような形をしている。

これは「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれるもので、火山活動によって生まれた高温のマグマが冷えて固まる際、規則的な割れ目ができたものだという。馬ヶ背では高さ約70mもの断崖絶壁がそそり立ち、その間に幅約10m、奥行き約200mの細長い海水路が形成されている。まさに自然が長い年月をかけて造り上げた巨大な彫刻である。

ちなみに、馬ヶ背という名前は、海から眺めたときの岬の形が馬の背中に似ていることに由来するそうだ。日向岬一帯の柱状節理は国の天然記念物にも指定されている。いやはや、自然の造形力というのは恐ろしい。

さらに遊歩道を進んで、岬の先端にある展望台へ。

【写真⑨:IMG_7309.JPG|馬ヶ背の先端展望台から望む、果てしなく広がる太平洋】

すると、今度は一気に視界が開けた。うわあ、すごい! 目の前には遮るもののない太平洋がどこまでも広がっている。真っ青な海、真っ青な空。沖合には小さな岩礁が浮かび、海岸線には白い波が打ち寄せている。

先ほどまでの、両側から岩壁が迫る狭い海水路とは正反対の景色である。足元には切り立った断崖、その向こうには果てしない大海原。海と空の境界が遠くに延び、何とも雄大な眺めだ。しばらく言葉もなく、ただただ見惚れてしまった。

馬ヶ背には、ガラス張りの展望スペース「スケルッチャ!」もあり、断崖絶壁を足元に感じられるという。そんな迫力ある岩壁の景色と、岬の先端から眺める大海原。この二つの対照的な景色を楽しめるのが馬ヶ背の魅力なのだろう。

普段の自転車旅では、時間を惜しんで観光地を素通りすることも多い。しかし、今回は思い切って寄り道をして大正解だった。いやあ、来てよかった! こういう景色に出会えるから、旅はやめられないのである。

願いが叶う「クルスの海」。さて、何をお願いしようか?

馬ヶ背の迫力ある断崖絶壁と大海原を堪能したあと、続いて向かったのが「願いが叶うクルスの海」である。ここも日向岬にある有名な景勝地。何でも、ここで願い事をすると、その願いが叶うという。ほほう、それは素通りするわけにはいかないではないか。

【写真⑩:IMG_7311.JPG|願いが叶うクルスの海の展望台。青い太平洋と遥か南へ続く海岸線】

展望台に到着すると、またしても素晴らしい景色が広がっていた。青い空、青い海。そして、はるか彼方まで続く宮崎の海岸線。いやあ、ここも絶景だ!

さて、この「クルスの海」、なぜ願いが叶うといわれているのか。実は、海に突き出した巨大な岩礁が、長い年月をかけて波に削られ、十文字に裂けているのである。東西約200m、南北約220mにも及ぶというから、なかなかのスケールだ。「クルス」とはポルトガル語で十字を意味する言葉。この十文字の岩の割れ目と、その脇にある岩場を合わせると、漢字の「叶」という文字に見えるのだそうだ。なるほど、十字に「口」を添えると「叶」。何とも縁起のよい自然の造形ではないか。

展望台には、願いを天に届けるための「クルスの鐘」も設けられている。観光名所というだけでなく、願掛けスポットとしても人気があるらしい。

【写真⑪:IMG_7312.JPG|クルスの海の岩礁と、南へ果てしなく続く日向灘の海岸線】

それにしても、見事な眺めである。手前には緑に覆われた岬、その先には複雑な形をした岩礁が海に突き出している。そして、どこまでも広がる太平洋。自然というものは、実に面白い形を造るものだ。

さて、願いが叶うというのだから、ここはひとつ、いろいろとお願いをしておこう。あれもこれも、それからあんなことも、こんなことも……。少々欲張りすぎかもしれないが、願い事はいくつあっても困らないのである。もちろん、今回の日本縦断ファイナルステージを無事に走り切れるように、というお願いも忘れない。

それにしても、この展望台から眺める南の海岸線が、またすごい。緑の岬が幾重にも重なり、その向こうに青い山並みがかすんでいる。これから自分が走っていく道が、はるか彼方まで続いているように見える。

うーむ、今日の宿泊地、宮崎駅はいったいどこじゃ?

地図の上では延岡から宮崎まで約115km。しかし、こうして高いところから南の海岸線を眺めると、何とも遠く感じられる。まあ、まだ時間には余裕がある。今日は天気も最高。海も美しい。馬ヶ背もクルスの海も、寄り道して大正解であった。

海を背に建つ大御神社。何とも不思議な神聖空間!

願いが叶うクルスの海であれこれお願い事をしたあと、気持ちよく坂をダウンヒル。すると、海のすぐそばに立派な神社が現れた。大御神社(おおみじんじゃ)である。

【写真⑫:IMG_7315.JPG|太平洋の大海原を背に建つ大御神社】

おお、これはまた珍しい! 神社といえば、深い森の中や山の麓にひっそりと鎮座しているイメージがある。しかし、ここは違う。社殿のすぐ向こうには、真っ青な太平洋がどーんと広がっているのである。海の前に神社。しかも、こんなに開放的な場所に。何とも不思議で、新鮮な光景ではないか。

大御神社は天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る由緒ある神社で、地元では「日向のお伊勢さま」と呼ばれているそうだ。日向灘を望む岩場の上に建ち、古くから人々の信仰を集めてきたという。境内には国歌「君が代」に登場する「さざれ石」の大きな岩石群もあり、近くには洞窟の中から「昇り龍」の姿が見えるという鵜戸神社もあるらしい。何とも神話の国、日向らしい場所なのである。

さて、ここはきちんとお参りしよう。自転車のヘルメットを脱ぎ、さらにその下にかぶっていたインナーキャップも脱ぐ。普段は汗まみれの格好で走り回っているおじさんだが、神様の前ではそれなりに礼儀正しくありたい。潮風の吹く境内で、しばし静かに参拝する。

先ほどクルスの海では、あれこれお願い事をしたばかりである。今度は天照大御神。今日はなかなか神頼みの多い一日だ。それにしても、背後に果てしない大海原が広がる神社というのは、本当にいいものだ。どこか厳かなのに、同時に何とも開放的なのである。

帽子が消えた!? 大御神社の不思議な出来事

大御神社で参拝を済ませ、再び自転車にまたがる。少し坂を登ると、またしても素晴らしい景色が現れた。

【写真⑬:IMG_7316.JPG|大御神社を過ぎた高台から望む美しい海岸線。ここで帽子の怪事件が発生!】

おおーっ、これはまた絶景ではないか! 眼下には白い波が幾重にも打ち寄せる美しい海岸線。松林の緑と青い海、その向こうには山並みがどこまでも続いている。右手には大きなヤシの木。いやあ、南国宮崎、実に素晴らしい。

ところが、ここで突然、あることに気がついた。

あれ? インナーキャップがない!

自転車のヘルメットの下にかぶっている薄い帽子である。そういえば、さっき大御神社で参拝するとき、ヘルメットと一緒に脱いだのだった。しまった! 神社に忘れてきた!

せっかく登ってきた坂だが、仕方がない。慌てて自転車を引き返し、再び大御神社へ。神社の方に「帽子の落とし物はありませんでしたか?」と尋ねてみる。

「いいえ、ありませんねえ」

うーむ、困った。境内を探しても見当たらない。どこへ行ってしまったのやら。仕方なく、しょんぼりと自転車を走らせ、再び元の道へ戻る。

ところが、その途中で何気なく頭に手をやった瞬間……。

あれっ!? 帽子があるではないか!!

えええっ、どういうこと!?

さっき確かになくなったと思ったのに。だからわざわざ坂を下って神社まで戻ったというのに。いったい、いつからここにあったのだろう。最初から頭にかぶっていたのか。それとも何かの勘違いだったのか。さっぱりわからない。

いやはや、不思議なこともあるものだ。大御神社は天照大御神を祀る神聖な場所。ひょっとして、神様にちょっとしたいたずらでもされたのだろうか。

……いやいや、そんなわけはない。

まあ、年相応にボケてきただけなのだろう。それにしても、帽子ひとつで坂を往復する羽目になるとは。せっかくの快走路で、何をやっているのやら。ともあれ、帽子は無事だった。めでたし、めでたし。

10月なのにサーフィン! 日向灘の大きな波と南国の海

さて、帽子の怪事件も無事に解決し、再び海岸線を南下する。すると、今度は広々とした砂浜が現れた。

【写真⑭:IMG_7318.JPG|大きな波が押し寄せる日向灘の砂浜。10月でもサーフィンを楽しむ人たち】

おお、これまた気持ちのよさそうな海岸ではないか! 先ほどまでの岩だらけの断崖絶壁とは打って変わって、今度はどこまでも続く広い砂浜。その沖から、大きな波が次々と押し寄せている。白い波頭が幾重にも連なり、ザザーン、ザザーンと砂浜に打ち寄せる。よく見ると、沖合にはサーファーの姿がちらほら。いやあ、気持ちよさそうだ!

それにしても、もう10月である。茨城ではそろそろ秋の気配が濃くなり、朝晩は肌寒くなってくる季節だというのに、ここ宮崎ではまだサーフィンを楽しんでいる人たちがいる。何ともうらやましいではないか。

宮崎県は全国でも有数のサーフィンスポットとして知られ、とりわけ日向市の「お倉ヶ浜」や「金ヶ浜」は有名だ。日向灘は太平洋に直接面しているため、年間を通じてうねりが届きやすく、秋になってもサーフィンを楽しめるという。

青い空、大きな波、そして広い砂浜。いやあ、南国はいいなあ。こちらは自転車、あちらはサーフボード。遊び方こそ違うけれど、自然の中で体を動かす楽しさは同じだろう。60歳になって、こうして平日の昼間に自転車で旅をしている僕も相当なものだが、10月の海で波乗りを楽しんでいる人たちも、なかなか人生を満喫しているようである。

国道10号線を快走。川の水は驚くほど透明!

日向市の絶景巡りを終えて、再び南へ。ここからは九州東部の大動脈、国道10号線を走る。

【写真⑮:PA020462.JPG|国道10号線の海沿いの快走路。路面もよく、青い太平洋が広がる】

おお、いいぞ、いいぞ! 国道10号線は北九州市から大分、宮崎を経て鹿児島市まで続く、九州東部の幹線道路である。交通量はそれなりにあるものの、路面は実にきれい。自転車にとって、これはありがたい。

右手には緑の山、左手にはキラキラ輝く太平洋。青い空の下、きれいな舗装路をすいすい走る。いやあ、気持ちがいい! 長時間走っていると、舗装のちょっとした荒れや段差でも、手やお尻にじわじわと響いてくる。その点、この道は実に快適だ。

そして、途中で渡った川の上から、またしても足を止めてしまった。

【写真⑯:PA020461.JPG|橋の上から見下ろした驚くほど透明な川の水。川底までくっきり!】

何だ、この透明度は! 橋の上から見下ろすと、水が透き通っていて、川底の様子まではっきり見える。岸辺の砂地から水の深いところに向かって、淡い緑色、エメラルドグリーン、そして青へと、実に美しい色のグラデーションが広がっている。

おおお、これはすごい! 水がきれい、という言葉だけでは何とも物足りない。思わずゾクゾクするほどの透明度なのである。海も美しいが、こういう川の景色もたまらない。橋の上からしばらく水面を眺めてしまった。

今回の宮崎の旅では、青い海、緑の山、白い砂浜、そして透き通った川と、次から次へと美しい風景が現れる。いやはや、宮崎の自然はなかなか侮れない。ついつい自転車を止めて写真を撮ってしまうので、なかなか前へ進まない。まあ、それも自転車旅の楽しさである。

道の駅日向で「へべす入り牧水そば」。これがうまい!

絶景の海岸線を気持ちよく走り続けていたが、そろそろ腹が減ってきた。朝飯はいつものコンビニ飯だったので、ここらでちゃんとした昼食をとりたい。というわけで、立ち寄ったのが「道の駅 日向」である。

店内に入ると、何やら気になるメニューが目に飛び込んできた。「牧水そば」、そして期間限定の「へべす」!

【写真⑰:IMG_7321.JPG|道の駅日向のメニュー。牧水そば、から揚げ、期間限定へべすスカッシュ】

へべす? 聞き慣れない名前である。何でも日向市特産の柑橘類だという。見た目はスダチやカボスに似ているが、皮が薄く、種が少なく、果汁がたっぷり。爽やかな香りとまろやかな酸味が特徴なのだそうだ。

しかも、この「へべす」、なかなか面白い名前の由来がある。江戸時代末期、現在の日向市に住んでいた長曽我部平兵衛(ちょうそかべへいべえ)という人が山中で発見し、栽培を広めたことから「平兵衛酢(へべす)」と呼ばれるようになったという。人の名前が果物の名前になってしまったのである。いやはや、面白い。

ちなみに「牧水そば」の牧水とは、日向市出身の歌人、若山牧水のこと。地元の名前を冠したそばに、地元特産のへべすを合わせるとは、何とも日向らしい一品ではないか。

さて、注文したのは期間限定のへべす入り冷たい牧水そば。ついでにエビ天も一本付けてみた。

【写真⑱:IMG_7322.JPG|へべすの輪切りが浮かぶ冷たい牧水そばとエビ天】

おお、これは涼しげではないか! 冷たいつゆの上には、薄く輪切りにしたへべすが何枚も浮かび、刻みネギと天かすがたっぷり。何とも爽やかな見た目である。

さっそくいただく。

うむ、うまい!

ひんやりしたそばに、へべすの爽やかな酸味と香りが実によく合う。スダチにも似ているが、酸味がとがっておらず、どこかまろやか。つゆの旨味を邪魔せず、すっきりと引き立てている。

それにしても、暑い! まだ10月2日だというのに、気温は30度近くまで上がっている。朝から強い日差しを浴びて走ってきた身には、この冷たさと柑橘の酸味がたまらないのである。

そばをすすり、つゆを飲み、またそばをすすり……。

いやあ、生き返る!

あまりにうまいので、最後はつゆを残り一滴まで飲み干してしまった。お店のお姉さんに「これ、おいしいですねえ」と声をかけると、「私も家に買って帰って食べているんですよ」とのこと。

ほほう、地元の人もわざわざ買って帰るほどなのか。なるほど、これは納得である。

それにしても、旅先でこういう土地ならではの食べ物に出会えるのは実に楽しい。観光名所を巡るのもいいが、その土地の人が普段から親しんでいる味を知るのも、旅の醍醐味なのである。

さて、宮崎はまだまだ遠い!

へべす入りの冷たいそばで、お腹も満たされ、体もすっかりクールダウンした。エネルギー充填完了!

それにしても、今日は朝からずいぶん寄り道をした。細島港、馬ヶ背、クルスの海、大御神社。そして、帽子が消えたと思ったら、なぜか頭の上にあったという、何とも間の抜けた事件まで。

絶景に見惚れ、写真を撮り、神様にお願いし、冷たいそばをすすっていたら、時間はどんどん過ぎていく。

しかし、まだまだ宮崎は遠いのである。

今日の宿は宮崎駅近く。ここから先は、もう少し真面目に走らなければならない。

とはいえ、これだけ素晴らしい景色が次々に現れると、また足を止めてしまいそうだ。

まあ、いいか。急ぐばかりが旅ではない。

さて、再び自転車にまたがり、南国の太陽の下、宮崎市を目指してペダルを踏み込む。

日本縦断 Stage5 DAY1 延岡〜宮崎 その3へ続く。