北上川を北へ、麦畑を抜け、盛岡を越えて、最後は高原に吸い込まれる

【写真挿入:Day5の走行ログ地図】
守谷から青森を目指す自転車旅も、5日目である。
この日の出発地は岩手県奥州市。
目的地は八幡平市の安比高原。
距離は126.67km。
走行時間は9時間44分58秒。
総上昇量は827m。
数字だけ見ると、ロードバイクでは普通であるが、毎日走っているので勘弁してほしい。
朝の北上川は、やたらに気持ちよかった

【写真挿入:朝の北上川を渡る。自転車と青空】
この日も朝は快調だった。
5時過ぎには目が覚めた。ふだんの生活では、朝5時に気持ちよく起きるなど、まずない。ところが自転車旅に出ていると、なぜか目が覚める。しかも、目覚めが悪くない。
たぶん、毎日くたくたになるまで走って、夜はビールを飲んで、余計なことを考える前に寝てしまうからだろう。外に出ると、この日もよく晴れていた。
橋の上から見る北上川は、朝の光を受けてゆったり流れていた。
岩手の川は大きい。空も広い。川岸の緑も深い。
そこに自転車を止めて写真を撮ると、「ああ、今日も始まってしまった」という気分になるが、これもうれしい。
北上川右岸を北へ行く

【写真挿入:北上川右岸の自転車道。遠くに山並み、青空】
走り出してすぐに北上川を渡り、右岸に出た。ここからしばらく、北上川の右岸を北へ進んでいく。この日はとにかく北上川沿いを走れば良い。
まずは自転車道や川沿いの道を見つけて、そこを走る。
これは大阪から東京まで走った時も同じだった。太平洋岸自転車道、多摩川、荒川、江戸川。自転車道と書いてあると、なぜか入ってしまう。
りんご畑が出てきた

【写真挿入:北上川沿いのりんご畑。道端に自転車を止めて】
自転車道は、できたり、なくなったりしながら続いていく。
しばらく走っていると、河川敷の下というのか、堤防沿いの道の横に、りんご畑が広がっていた。青森に近づいているから、りんごなのかなと思った。しかし、ここはまだ岩手である。岩手もりんごの産地3位だけど、青森の10分の1の生産量。
木には、まだ小さな実がなっていた。赤くなり始めた小さなりんごが、葉の間にちらちら見える。こういうものを見ると、ただ距離を稼いでいるだけではなく、その土地の中を走っている感じがする。
田んぼの中の、やたら気持ちいい道

【写真挿入:田んぼの中をまっすぐ伸びる道。朝の青空】
りんご畑を過ぎると、今度は田んぼの中をまっすぐ伸びる道に出た。
こういう道は、見た瞬間にうれしくなる。
左右には水を張った田んぼが広がっている。遠くには山並みも見える。
また北上川へ戻る

【写真挿入:北上川沿いの道。川、堤防道、遠くの山並み】
また北上川沿いの道に出た。左手にはゆったり流れる北上川。
北上市が見えてきた

【写真挿入:北上川沿いの道。川の向こうに北上市街が見えてくる】
北上市が見えてきた。川の向こうに建物が並び、少しずつ市街地の気配が濃くなってくる。それでも、こちら側の道はまだ川沿いの静かな道である。
誰もいない道で鹿が出た

【写真挿入:木陰の北上川沿いサイクリングロード。誰もいない道】
北上市街が見えてきたあとも、川沿いのサイクリングロードはしばらく続いた。
左手には北上川が流れ、川岸には岩が見え、道の横には大きな木が枝を広げている。ところどころ木陰になっていて、朝の強い日差しを少しだけやわらげてくれる。
ただ、不思議なことに、人がいない。これだけ気持ちのよい道なのに、自転車にも歩行者にも、ほとんど誰にも会わなかった。人がいないと、だんだん少し心細くもなる。
そんなことを思いながら走っていたら、途中の薄暗い木陰から、突然、鹿が飛び出してきた。熊でなくて、本当によかった。
北上サイクリングロードに入る

【写真挿入:北上サイクリングロードの看板。草に囲まれた細い道】
少し進むと、「北上サイクリングロード」の看板が出てきた。こういう看板を見ると、つい入ってしまう。私はサイクリングロードが好きなのである。
大きな国道を車に気をつかいながら走るより、川沿いや自転車道を拾っていくほうが、気持ちとしてはずっと楽である。ただし、サイクリングロードという名前がついていれば、必ずしも快適というわけではない。
この先は、だんだん路面がガタガタになってきた。草も伸びていて、道の端はかなり怪しい。いかにも、しばらく誰も通っていないような雰囲気がある。
「これは本当にサイクリングロードなのか」
と思いながらも、ここまで来たら進むしかない。
田んぼの向こうにKIOXIAが見えた

【写真挿入:河川敷の自転車道。遠くに大きな工場建物が見える】
北上サイクリングロードは、いったん川から少し離れたような感じになった。
それでも、河川敷沿いの道を拾いながら、北へ進んでいく。
道は細く、草も伸びているが、いちおう自転車道である。
途中で、同じようにサイクリングしているおじさんに会った。
「この道、この先も続いていますかね」
というような話を少しした。旅の途中で会う自転車乗りとの会話は短い。でも、道の情報としてはけっこう大事だったりする。
そして、この写真を見返すと、左手に大きな建物が写っている。

【写真挿入:KIOXIAの建物を拡大した写真】
拡大してみると、KIOXIAだった。北上にあるキオクシアの工場である。
こんなところにあるのか、と思った。キオクシアホールディングスは、2024年12月に上場した会社である。公募価格は1,455円、初値は1,440円だった。それが2026年6月には、一時10万円台まで上がり、初値から見れば70倍を超える場面もあった。
つまり、上場時に100万円分買って握っていたら、単純計算では7,000万円を超えていたことになる。もちろん、そんなことはあとからなら何とでも言える。まあ、だいたいというか100%私が買った株は下がってしまう。センスないんだろうね。
それでも、田んぼの向こうに巨大なKIOXIAの建物が見えたとき、私は自転車に乗りながら、ついそんなことを考えてしまった。
自転車旅をしているのに、頭の中では投資の反省会もしている。
われながら、なかなか忙しい。
北上花巻温泉サイクリングロードへ

【写真挿入:北上花巻温泉サイクリングロードの標識。花巻駅西口まで7.4km】
今度は、「北上花巻温泉サイクリングロード」に入った。「温泉」という響きが良い。
標識には、花巻駅西口まで7.4kmとある。ここまで来ると、奥州市からかなり北へ進んできた感じがする。
ただし、問題は路面である。サイクリングロードという名前はついているのだが、路面がきれいとは限らない。ところどころガタガタしていて、油断していると尻に直接くる。仕方がないので、途中で止まってクリームを塗り直した。
自転車旅の現実は、青空と田んぼと爽やかな風だけではない。尻の痛みとも、かなり真剣に向き合わなければならない。
花巻を過ぎ、山が見えてくる

【写真挿入:花巻を過ぎた北上川沿いのサイクリングロード。遠くに山並み】
花巻の市街地は、左手に見えたと思ったら、そのまま過ぎていった。
北上花巻温泉サイクリングロードは、まだ北上川沿いに続いている。
相変わらず川そのものは見えたり見えなかったりするが、道は堤防の上をまっすぐ北へ伸びている。正面には山々が見えてきた。
岩手山か、八幡平のほうの山か。
正確にはよくわからないが、とにかく今日これから向かっていく方向に山があることだけは、はっきりわかる。この日の目的地は安比高原である。
「高原」という響きは爽やかだが、自転車で行く場合、それはつまり上るということである。
まだこの時点ではサイクリングロードを気持ちよく走っているのだが、正面に山並みが見えてくると、少し気が遠くなる。
あの山の近くまで、本当に今日中に行くのか。
そう思うと、距離感がおかしくなってくる。
けれど、自転車旅では一気にそこまで行くわけではない。ペダルを一回ずつ回すだけである。一漕ぎ一漕ぎ。
それを続けていれば、いつの間にか地図上の遠い場所に近づいている。
広い道に出ると、少しほっとする

【写真挿入:花巻市コミュニティバスの停留所。広い道路に出る】
花巻市を過ぎてしばらくすると、川沿いの細いサイクリングロードから、広い道路に出た。ただ、ずっとそういう道ばかりを走っていると、少し寂しくなるときもある。
その点、こういう広い一般道に出ると、路面がいい。走りやすい。
そして、途中でコンビニに寄れる。
長距離を走っていると、補給できる場所があるというだけで安心する。
水を買い、炭水化物を入れ(だいたい、バナナ、焼きそばパン、エナジージェル)、必要なら少し休む。これをやらないと、後半にじわじわ効いてくる。
麦畑を見て、ビールのことを考える

【写真挿入:岩手県の標識と黄金色の麦畑。遠くに山並み】
広い道を北へ進んでいると、左手に麦畑が広がっていた。一面が黄金色である。
田んぼの緑とはまったく違う色で、風が吹くと麦の穂がゆらゆら揺れている。
これが小麦なのか、大麦なのか、私には正確にはわからない。ただ、見ているうちに、
「これはビールになる麦なのではないか」と思えてきた。
そう思った瞬間、急に景色が楽しくなる。岩手にはクラフトビールもいろいろある。”いわてぐら”(アルテグラじゃないよ)というビールもあったな。
「この麦が全部ビールになったら、ずいぶん幸せなことだな」
などと思いながら走った。

【写真挿入:麦畑と山並みのパノラマ。まっすぐ伸びる道】
いやはや、岩手の道は広い。
道はまっすぐで、左右には麦畑が広がっている。
そして、その向こうには山々が見える。
空は青く、太陽の光を受けた麦畑は黄金色に光っていた。
水田の緑もよいが、麦畑のこの色はまた別のよさがある。少し乾いた感じがして、風景全体が明るく見える。
遠くの山は、走っても走ってもなかなか近づかない。
近づいているようで、まだ遠い。
それでも、あの山の方へ向かっているのだと思うと、気分は悪くなかった。
盛岡19km

【写真挿入:岩手県交通の大地町バス停。前方に盛岡19kmの標識】
しばらく広い道を走っていると、岩手県交通のバス停が出てきた。
バス停の名前は「大地町」。
その少し先に、道路標識が見える。
写真では少し見にくいが、そこに「盛岡 19km」と出ていた。ついに盛岡である。
すぐ着く距離ではない。しかし、朝に奥州市を出て、北上、花巻を越えて、ずっと北へ走ってきた身としては、「盛岡」の文字が見えただけでかなり気持ちが軽くなる。
それでも、盛岡という大きな街が近づいてきたことは大きかった。ようやく中盤の大きな区切りが見えてきた。
盛岡自転車道に戻る

【写真挿入:盛岡自転車道の看板。北上川沿いのサイクリングロードへ戻る】
国道をしばらく走ったあと、また川沿いの自転車道に戻ってきた。
北上川と合流するようにして、道は再びサイクリングロードになる。
今度は「盛岡自転車道」という看板が出てきた。
この日、ここまでいくつかのサイクリングロードをつないできた。
北上サイクリングロード。北上花巻温泉サイクリングロード。そして盛岡自転車道。
もちろん、全部がきれいに一本でつながっているわけではない。
途中で途切れる。
国道に出る。
路面がガタガタになる。
草が伸びている。
本当にこの道でいいのかと思うこともある。
それでも、北上、花巻、盛岡という主要な町が、こうして川沿いの自転車道で少しずつつながっているのは、のんびり走っていてとても楽しい。
車に追われるだけの移動ではなく、川と田んぼと町をつなぎながら、自分の脚で北へ進んでいく感じがある。
岩手山が大きくなってきた

【写真挿入:田んぼの間をまっすぐ進む盛岡自転車道。正面に岩手山】
盛岡自転車道を進んでいくと、岩手山がだんだん大きく見えてきた。道は田んぼの間をまっすぐ伸びている。左右には水田が広がり、道端には白い花が咲いている。車は来ない。空は青い。遠くには岩手山。これ自転車旅で一番幸せな瞬間だ。(ただし、ケツが痛くなければ、、、、)
盛岡市街へ入る

【写真挿入:盛岡市街手前の橋。岩手山と川、交通量の多い道路】
いよいよ盛岡が近づいてきた。大きな道路に入り、交通量もぐっと増えてきた。
たぶん国道4号線だったと思う。川にかかる橋を渡ると、前方には市街地が見え、その奥には岩手山が大きく見えている。
ちょうど前方に、ロードバイクの方が走っていた。
無理にぴったりつくわけではないが、少し距離をあけて後ろを走らせてもらうと、自然にペースが上がった。一人で淡々と走っていると、どうしても速度が落ちてくる。
しかし前に同じ方向へ走る人がいると、不思議と脚が回る。
自転車で盛岡駅に来た

【写真挿入:盛岡駅前に到着。自転車と記念写真】
盛岡駅に到着した。岩手県といえば、やはり盛岡である。
盛岡には以前、観光で来たことがある。わんこそばを食べたり、冷麺を食べたりした記憶がある。たしかその時は、新幹線か車で来たのだと思う。
しかし今回は違う。その盛岡駅の前に、自分の自転車で立っている。そう思うと、ここまで走ってきた実感が一気にわいてきた。
「よく来たなあ」という感じだった。
ただ、この日はめちゃめちゃ暑かった。駅前に着いた時には、かなり消耗していた。
盛岡駅で少し休憩することにした。
こういう時のコーラとパンは焼きそばパンに限る。
このあと、さらに安比高原まで走らなければならない。冷麺もわんこそばもなし。再び走り出す。
盛岡から安比高原へ

【写真挿入:盛岡を出発後、岩手山を左に見ながら北へ向かう道】
盛岡駅で休憩したあと、いよいよ終盤戦に入った。
実は、ここから先のルートは、出発前からけっこう悩んでいた。
青森へ向かうには、いくつかの選択肢がある。
太平洋側をそのまま北上するルート。
内陸を抜けて十和田湖方面へ向かうルート。そして、盛岡から安比高原方面へ進み、秋田側をかすめるようにして北へ向かうルート。
最初は、十和田湖を突っ切るルートも考えた。
せっかく東北を走るなら、十和田湖という名前にはやはり惹かれる。
ただ、距離や獲得標高、翌日の青森到着までを考えると、なかなか簡単ではない。
すでに連日120km前後を走っていて、お尻も脚もかなり消耗している。ここで無理をして山岳ルートに突っ込むのは、ちょっと危険な気がした。
いろいろ考えた末に、この日は安比高原方面へ向かうことにした。盛岡から北西へ進み、八幡平市、安比高原方面へ抜けるルートである。そして、この日の宿は、昼休憩のタイミングで楽天トラベルから予約しておいた。安比高原の温泉付きの宿である。
これが大きかった。「今日は温泉に入れる」
じりじり登る

【写真挿入:232号線沿い。左手に岩手山、まっすぐ伸びる道】
盛岡を出てからは、232号線を進んでいった。
道は広く、路面もよい。左手には岩手山が見える。田んぼの緑もきれいで、空には雲が広がっている。途中にドラッグストアがあった。見つけると寄るようにしている。エネルギー補給である。スポドリ、エネジージェル、バナナ、パン、あとはアミノバイタルの粉を仕入れる。コンビニで買うとすぐ800円くらいになるが、ドラッグストアだと半分ですむ。
八幡平市に入る

【写真挿入:八幡平市の標識前で自撮り】
しばらく登り基調の道を進んで、八幡平市に入った。
いよいよここから、山の方へ入っていくのだなという感じが強くなってきた。
しかし、八幡平市に入ると、目的地の安比高原がぐっと現実味を帯びてくる。
高原ということは、上るということである。それはわかっている。
わかってはいるが、すでにここまでかなり走ってきているので、体はけっこうきつい。
八幡平、安比高原、雫石、田沢湖、、、このあたりはスキーできたことがある。この名前だけでも、いかにも東北の山旅という感じがする。
安比高原は見えているが、宿は見えない

【写真挿入:前方に安比高原方面の山が見えてくる広い道】
前方に、いよいよ安比高原らしき山が見えてきた。
ここまで来ると、今日のゴールが近づいているような気がする。
ただ、問題は宿がどこにあるのか、まったくわからないことである。
写真を見てもわかるように、道は広く、前方には山がある。しかし、宿らしい建物は見えない。
自転車旅では、こういう時間帯がいちばん長く感じる。目的地の地名は近づいている。
ナビ上の距離も少しずつ減っている。でも、実際の景色の中にはゴールが見えない。
「安比高原って、いったいどこまで上るんだろう」そんなことを思いながら漕いでいると、じわじわ進んでいくんだな~
安比高原入口まで来た

【写真挿入:安比高原へ入る手前。正面に安比高原の山、左手に岩手山】
安比高原へ入っていく道の角に、コンビニがあった。ここでいったん止まって、写真を撮った。ここまで来れば、宿まではあと数キロである。
「ああ、やっと来たな」という感じだった。
正面に見えている山が、安比高原の山である。
よく見ると、スキー場のコースらしき斜面も見える。冬ならここをスキーで滑り降りてくるのだろうが、こちらは真夏のような暑さの中を、自転車でじりじり上がってきた。
左手には、岩手山も見えている。
今日の旅の途中からずっと、左手に岩手山を見ながら走ってきた。
その山が、ここでもまだ見えている。なんだか、この日の後半をずっと見守られていたような気分になる。
安比高原は、どこか爽やかなリゾートだ。しかし、自転車でここまで来ると、ただ爽やかというだけではないなにか、充実感がある。
最後のまっすぐな登り

【写真挿入:安比高原のホテル街へ向かう最後のまっすぐな登り】
安比高原の入口まで来て、宿まではあと少しのはずだった。宿は、安比高原のホテル街というか、ペンションやホテルが集まっているエリアにある。地図で見ると、もう近い。距離だけなら、たいしたことはない。
しかし、ここからがきつかった。
写真では少しわかりにくいが、道はじわじわと登っている。しかも、ずっとまっすぐである。先まで見えてしまう。
これが、最後の最後でなかなかメンタルを削ってくる。でも、温泉もこの先にある。
ここまで来たら、もう行くしかない。
懐かしの安比高原

【写真挿入:APPI RESORTの看板。安比高原スキー場・ホテル方面】
ついに、安比高原の中心部に入ってきた。
道の横に、APPI RESORTの大きな看板が出ている。正面の奥に見えているのが、安比高原スキー場の下にある大きなホテルである。
今はインターコンチネンタルになっているが、以前は安比グランドホテルと呼ばれていたと思う。リクルートが開発した、いかにもバブル期らしい大きなリゾートホテルだった。実は、安比高原には少し思い出がある。20代の頃、会社がここに保養所を持っていて、よくスキーに来ていた。その頃は、部屋代がタダ。リフト券もタダ。
今考えると、信じられないような破格の条件である。まだ若く、体力もあり、スキーも楽しく、会社の保養所制度もまだ元気だった時代。安比高原と聞くと、その頃のことを少し思い出す。それから何十年もたって、今度はスキー板ではなく、自転車でここまで来た。20代の自分が、まさか60歳になって自転車で安比高原まで来るとは思っていなかっただろう。懐かしさと、疲れと、ようやく着いたという安心感が入り混じった。
この看板を見たとき、安比高原まで本当に来たのだなと思った。
ついに安比高原に到着

【写真挿入:安比高原の宿泊エリアに到着。スキー場を背に記念写真】
ついに、安比高原の宿泊エリアに到着した。ペンションやリゾート施設が集まる場所まで、ようやく上がってきた。
背後には安比高原スキー場の山が見えている。冬ならゲレンデになる斜面である。
あとは宿に入り、待ちに待った温泉に入り、ビールを飲むだけである。
森のホテルと、コンビニ宴会

【写真挿入:安比高原・森のホテルに到着。ホテル前に自転車】
この日の宿は、安比高原の「森のホテル」だった。
名前の通り、森の中にあるホテルという感じで、落ち着いた雰囲気があった。
中の写真を撮っていなかったのが少し残念だが、部屋は広く、温泉もあり、かなりよい宿だった。自転車も小屋の中に置かせてもらえた。
これは本当にありがたい。
雨が降っても安心だし、夜の間も気にならない。自転車旅では、宿そのものの快適さと同じくらい、自転車をどこに置けるかが大事である。
温泉も非常によかった。結局、夜に何度か入り、朝もまた入った。
たぶん3回くらい入ったと思う。脚にも、お尻にも、心にも効いた。
ただ、少し間抜けな話もある。
宿にはレストランがあるので、何か食べられるだろうと思っていた。ところが、夕食は予約制だったのか、当日では食べられなかった。つまり、夕食がない。そして店もない、、、、、、仕方がないので、さっき必死に登ってきた道を、またコンビニまで下りることになった。
せっかく登ったのに、また下る。そして、あとでまた登り返す。なかなか切ない。
コンビニでは、大盛りスパゲッティと、いつもの鶏レバーのつまみ、そしてビールを買った。それを持って、またホテルまで戻る。
豪華な夕食ではない。しかし、この日の体には十分だった。温泉に入り、ビールを飲み、コンビニのスパゲッティと鶏レバーでささやかな宴会をする。
DAY5走行記録
| 項目 |
記録 |
| 区間 |
岩手県奥州市 → 八幡平市・安比高原 |
| 距離 |
126.67km |
| 走行時間 |
9時間44分58秒 |
| 平均速度 |
13.0km/h |
| 総上昇量 |
827m |
| 平均心拍数 |
101bpm |
翌日は、いよいよ青森へ向かう。ただ、昨日、一昨日につづいて、雷雨警報がでている。また雨雲レーダーをみながらの走りになる。